「特別市」巡り議論平行線 政令市、独立で「行政効率化」―道府県「財政に影響」と反対
【図解】「特別市」のイメージ
地方自治制度を巡り、道府県の権限や財源を大都市に移し、道府県から独立させる「特別自治市(特別市)」が一つの論点となっている。全国20政令市でつくる指定都市市長会が、行政の効率化に向けた方策として国に制度化を求めているのに対し、道府県は財政などへの影響を懸念して反対の姿勢。両者の主張は平行線をたどっている。
特別市構想が浮上した背景には、近年人口減少に伴って自治体の担い手が不足し、住民サービスの持続可能性が課題となっていることが挙げられる。指定都市市長会は、制度創設により、業務の効率化や職員の負担軽減、サービスの質向上につながると主張。インフラ整備などで周辺市町村と「水平連携」することで、地域全体の発展にも寄与するとしている。
一方全国知事会は、特別市に税収が移れば道府県の収入が大幅に減り、他の市町村への支援などに影響を及ぼす可能性があると指摘。さらに、災害や感染症など市町村をまたいだ行政対応にも支障が生じかねないと危機感を示している。7月に公表したプロジェクトチーム(PT)の中間取りまとめには「課題や懸念を明確に払拭することなく法制化することには反対だ」と明記した。
こうした中、両者は24日に初めてオンラインの意見交換会を開いた。指定都市市長会の久元喜造会長(神戸市長)は「もはや自治体は持続可能と言えず、東京一極集中もどんどん進んでいる。特別市(の創設)を含む大都市制度の改革が必要だ」と強調。知事会に理解を求めた。
一方知事会PTリーダーの村井嘉浩宮城県知事は、現在の道府県と政令市の関係に課題があることは認めたものの、「解決策は必ずしも特別市制度ではない」と指摘。知事会の懸念に対して「納得できる説明ではなかった」と述べ、両者の隔たりが改めて浮き彫りとなった。
特別市を含む大都市制度の在り方は、1月に発足した政府の第34次地方制度調査会(首相の諮問機関)でも審議項目の一つになっている。ただ、調査会の委員を務める有識者からは「特別市を導入するメリットが不明確なままだ」といった声が上がっている。
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