「Google Chrome 155」安定版リリース、JPEG XLに対応&耐量子暗号も利用可能に
ウェブブラウザ「Google Chrome」の最新安定版であるバージョン155がリリースされました。新たにJPEG XL形式の画像をブラウザ上で表示できるようになったほか、Web Crypto APIに耐量子暗号アルゴリズムが追加され、CSSのリスト表現や余白制御なども強化されています。
Chrome 155 Release Notes - Chrome Platform Status
https://chromestatus.com/release-notes/155
◆JPEG XL形式の画像表示に対応
Chrome 155では、画像フォーマット「JPEG XL」のデコードがサポートされ、JPEG XL画像をウェブページ内で直接表示できるようになりました。MIMEタイプは「image/jxl」で、Blinkではメモリ安全性を重視してRustで実装されたデコーダー「jxl-rs」が利用されています。
JPEG XLはISO/IEC 18181として標準化されている画像形式で、画像を段階的に表示するプログレッシブデコードのほか、広色域、HDR、高ビット深度、アニメーションなどに対応しています。
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◆Web Crypto APIが耐量子暗号アルゴリズムに対応
Chrome 155では、ブラウザから暗号処理を利用するための「Web Crypto API」に以下の通り複数の新しい暗号アルゴリズムが追加されました。
・ML-KEM 768、1024
・ML-DSA 44、65、87
・ChaCha20-Poly1305
・X-Wing
ML-KEMは鍵共有、ML-DSAはデジタル署名に用いられる耐量子暗号方式です。量子コンピューターの発展を見据え、ウェブアプリでもブラウザが提供する実装を通して耐量子暗号を扱えるようになります。
◆CSSの「symbols()」でリストの記号を簡単にカスタマイズ可能に
Chrome 155では、CSSの「symbols()」関数がサポートされました。これまでも「@counter-style」を使えば独自のカウンタースタイルを定義できましたが、symbols()を使うことで、名前付きの「@counter-style」をあらかじめ宣言しなくても、その場でリストの記号や連番の表現を指定できます。
例えば「list-style-type: symbols(cyclic "★" "☆");」のように記述することで、リストマーカーに任意の文字列を利用可能です。cyclicのほか、numeric、alphabetic、symbolic、fixedといったカウント方式にも対応しています。symbols()は「list-style-type」「list-style」「counter()」「counters()」で利用できます。
◆コンテナ内の先頭・末尾要素の余白を削除する「margin-trim」
CSSの「margin-trim」プロパティがサポートされました。margin-trimを使用すると、コンテナの先頭または末尾に配置された子要素の外側のマージンを取り除くことができます。例えば記事カードの中に見出しや段落を配置した際、最初の要素の上マージンや最後の要素の下マージンによって意図しない余白が生まれるのを、CSS側で制御しやすくなります。
通常のブロックコンテナとマルチカラムコンテナで利用できます。一方、以前の仕様案に含まれていたflexコンテナとgridコンテナへの適用は現在の仕様から削除されています。
◆空白部分に下線などを引かない「text-decoration-skip-spaces」
Chrome 155では、「text-decoration-skip-spaces」プロパティも利用可能になりました。このプロパティは、下線、上線、取り消し線などのテキスト装飾を空白文字の部分にも描画するかどうかを制御するものです。空白部分だけ装飾線を飛ばすことで、文章中のリンクなどをより自然な見た目に整えられます。
◆ウェブアプリからウィンドウの最大化・最小化が可能に
Window Management APIの機能が拡張され、ウィンドウ管理の権限を持つウェブアプリから「maximize()」「minimize()」「restore()」を呼び出せるようになりました。また、「setResizable()」を利用してユーザーによるウィンドウサイズの変更を許可するかどうかも制御できます。
さらに、現在のウィンドウ状態やリサイズ可能かどうかをCSSやスクリプト側から判定するための「display-state」「resizable」メディア機能も追加されています。
Googleは、特にVDIなどを利用してリモートアプリケーションをウェブクライアント上で動かす場面で、タイトルバーの操作などをより自然に実装できるようになると説明しています。
◆デジタル資格情報をウェブサイトからウォレットへ発行可能に
Chrome 155では「Digital Credentials API」に、デジタル資格情報の発行を行う機能が追加されました。大学、政府機関、銀行などのウェブサイトから、デジタル資格情報をユーザーのモバイルウォレットへ安全に追加する処理を開始できるようになります。
AndroidではIdentityCredentialに対応するCredential Managerの仕組みを利用し、デスクトップではDigital Credentialsの提示機能と同様に、CTAPプロトコルを用いた端末間連携を利用します。
◆非表示iframeの音声・動画再生を制御可能に
Chrome 155では「media-playback-while-not-visible」というPermissions Policyが追加されました。埋め込み元がPermissions Policyを設定することで、埋め込まれたiframeが「display: none」「visibility: hidden」になっている場合や幅または高さが0になっている場合など、ユーザーから見えない状態で音声付きメディアを再生しようとした場合にその再生をブロックできるようになります。iframeが再び表示されれば制限は解除されます。
非表示になった埋め込みコンテンツが裏側で音声を流し続けるのを防げるほか、不要なメディア処理を抑えてパフォーマンス改善につなげることも可能です。
◆JavaScriptからテキストファイルをモジュールとして読み込み可能に
Chrome 155では、JavaScriptでテキストファイルをモジュールとして読み込む「Import Text(Text Modules)」がサポートされました。「import text from "./sample.txt" with { type: "text" }」のような構文を使うことで、テキスト形式のデータを文字列として直接インポートできます。
◆その他の更新点
・Canvasで利用できるPredefinedColorSpaceに「srgb-linear」と「display-p3-linear」が追加されました。
・WebGPUに「atomic-vec2u-min-max」が追加され、WGSLで「atomic<vec2u>」に対する64ビットのアトミック最小値・最大値演算が利用可能になりました。
・WebTransportで受信Datagramをバイトストリームとして扱う「datagramsReadableType: "bytes"」が追加されました。
・WebTransport Datagramの送信用APIが拡張され、独立したWritableStreamの生成や送信優先度の指定が可能になりました。
・WebTransportに、信頼性のある通信のみをサポートするか、Datagramのような信頼性のない通信も利用できるかを確認する「reliability」と「supportsReliableOnly」が追加されました。
・標準化された「WebTransportReceiveStream」が追加され、ストリームごとの受信バイト数やアプリケーションが読み取ったバイト数を取得可能になりました。
・企業管理下のChromeで「chrome.debugger」APIを利用する拡張機能について、管理者が設定したホストアクセス制限やスクリーンショット禁止ポリシーが適用されるようになりました。
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