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Thursday, October 22, 2026

数千体のAIが数百万個の脳細胞データをわずか32分で分析、アルツハイマー病やパーキンソン病の研究につながる新たな手掛かりを発見

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OpenAIは2026年10月21日、数千体のAIエージェントを使って数百万個のマウスの脳細胞から得られた実験データをわずか32分で分析し、アルツハイマー病やパーキンソン病などの研究につながる新たな手掛かりを発見したと発表しました。人間の研究者なら数カ月から1年かかると推定される分析を短時間で実施し、これまで見落とされていた可能性のある遺伝子の働きについて新たな仮説も提示したとのことです。

Using thousands of AI agents to uncover new leads in biological data | OpenAI
https://openai.com/index/scaling-ai-research-for-complex-biological-data/

Distributed AI agents enable comprehensive discovery of biological insights at scale | bioRxiv
https://www.biorxiv.org/content/10.64898/2026.10.15.759436v1

近年の生命科学研究では大量の細胞を調べ、特定の遺伝子が細胞の働きにどのような影響を与えるのかを詳しく分析できるようになっています。数千種類の遺伝子に変化を加え、数百万個の細胞で起きる反応を記録する大規模な実験も可能ですが、こうした膨大な実験データから病気の原因につながる情報を見つけ出すには過去の研究論文などと照らし合わせながら一つ一つの結果を読み解く必要があります。データが増えるほど分析に時間がかかり、重要な発見につながる小さな変化が見落とされる可能性も高まります。

そこでOpenAIは生命科学分野の研究に取り組むPerturbAIおよびスクリプス研究所と協力し、生命科学研究向けAI「GPT-Rosalind」を搭載した数千体のAIエージェントに分析作業を分担させる手法を開発しました。

研究チームが分析に使用したのは「全脳CRISPRアトラス」と呼ばれるデータセットです。CRISPRは特定の遺伝子に変化を加える技術で、全脳CRISPRアトラスにはマウスの脳全体にわたって遺伝子を操作した際の細胞の反応が記録されています。

数千体のAIエージェントはそれぞれ異なる遺伝子の分析を担当し、遺伝子を操作した際の細胞の変化を調査。さらに関連する科学論文を検索し、細胞に変化が起きた理由について仮説を立てました。最後に各エージェントの分析結果を統合し、遺伝子と細胞の反応、関連する研究論文などを結び付けた「推論アトラス」を作成しました。

分析の結果、AIエージェントは細胞の成長や代謝などに関わる「Tsc1」と「Tsc2」という2種類の遺伝子に興味深い違いを発見しました。両遺伝子は通常、細胞の成長などを調節する「mTOR」という仕組みに関わっており、多くの神経細胞では似た働きをしています。

ところが、運動の調整を担う小脳ではTsc2を操作すると神経細胞同士の情報伝達に関わる数十種類の遺伝子の活動が変化した一方、Tsc1を操作してもほとんど変化が見られませんでした。

TSC2の異常は脳などに良性腫瘍ができる「結節性硬化症」と関連しており、患者の小脳に見られる異常とも関係していることが知られています。今回の発見によって研究者は病気に関係する可能性がある神経細胞や遺伝子の変化を絞り込み、既存の薬で改善できるのかを調べやすくなるとのこと。

さらにAIエージェントはパーキンソン病に似た症状を引き起こす「ペリー症候群」に関連する遺伝子「DCTN1」にも注目しました。

DCTN1は神経細胞内で物質を運ぶ働きに関わる遺伝子です。実験データではDctn1を操作するとコレステロールの生成に関わる遺伝子の活動が増加していました。AIエージェントは過去の研究と照らし合わせ、神経細胞内でコレステロールを運ぶ仕組みに問題が起きると、細胞がコレステロールを過剰に作る可能性があると指摘しました。

研究チームは神経細胞内のコレステロールの分布が神経変性に関係しているのか、分布を正常に戻すことで神経細胞を保護できるのかといった点を今後の研究課題として挙げています。

複数のAIエージェントを使う手法がどれほど有効なのかを確かめるため、研究チームは1体のAIエージェントにまとめて分析させる方法とも比較しました。最も作業量が多い条件では1体のAIエージェントが参照した文献はわずか11件だったのに対し、数千体のAIエージェントは数千件の文献を参照しました。


また、分析結果を伏せて専門家に評価してもらったところ、75%の割合で複数のAIエージェントによる分析結果が高く評価されたそうです。


研究チームは分析結果をまとめた推論アトラスを公開しており、ほかの研究者も遺伝子同士の関係や予想外の細胞の反応を調べられるようになっています。OpenAIは科学者が研究の中心を担うことは変わらないとした上で、AIによって膨大な実験データから検証する価値のある仮説をさらに多く見つけ出し、将来的にはより優れた医薬品の開発につなげたいと述べています。

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