老化した血液細胞を神経幹細胞に変換すると細胞が少しずつ若返るとの研究結果
研究チームはDNAメチル化とRNAシーケンスという2つのゲノム解析手法を用いて、ダイレクトリプログラミングした神経幹細胞に生じる抗老化効果を追跡しました。
当初、赤血球前駆細胞の生物学的年齢(エピジェネティッククロック)はドナーの実年齢と高い相関関係を示していました。ところが、ダイレクトリプログラミングによって生み出された神経幹細胞は50~100日かけてゆっくりと若返り、最終的にはエピジェネティッククロックがドナーの実年齢の約5%にまで戻りました。研究チームは、80歳のドナーから採取した細胞のエピジェネティッククロックが20歳未満になったと報告しています。
さらに研究チームが、タンパク質の発現や細胞のリサイクル能力といった指標を用いて分析したところ、若返った神経幹細胞は実際に若い細胞と同じように機能することも判明。神経幹細胞はDNA損傷やミトコンドリア毒性といった問題も少なかったとのことです。
以前の研究でも、細胞のリプログラミングが若返り効果をもたらすことは知られていましたが、ダイレクトリプログラミングで若返り効果が確認されたのは初だそうです。また、2段階のリプログラミングでは若返りが急速に起こりますが、今回のダイレクトリプログラミングはゆっくり若返りが進行したことも特徴です。
論文の共著者でボン大学病院の再生神経生物学研究所所長のオリバー・ブリュストル教授は、「これほど長い期間にわたる若返りは、実験モデルとして理想的です。エピジェネティッククロックは数週間かけてゆっくりとリセットされるため、このモデルを用いて、どの因子や活性物質が若返りプロセスを促進または抑制するのかを調査することができます。これは特に神経科学の分野において重要です。なぜなら、年齢はアルツハイマー病などの神経変性疾患にとって最も重要な危険因子だからです」とコメントしました。
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