Evernoteの大幅値上げの裏では200回超の実験を通じて料金や機能の調整が進められていた
Evernoteは個人向けプランの「Personal」と「Professional」を廃止し、「Starter」と「Advanced」への移行を段階的に進めています。日本向けの公表価格では、2023年の価格改定後のPersonalプランが年額9300円だったのに対し、Advancedプランは年額1万7899円で約1.9倍。年額7099円のStarterプランもありますが、保存できるノートは1000件、ノートを分類するノートブックは20個までという上限があります。
Advancedプランには原則としてノート数やノートブック数に上限が設けられていませんが、すでに大量のノートを保存しているユーザーが安いプランを選ぶには利用量をStarterプランの上限内に収める必要があるというわけです。
Bending Spoonsが米国証券取引委員会(SEC)に提出した資料によると、買収時点でのEvernoteの顧客の平均利用年数は7.2年でした。多くの顧客は数千件ものノートを保存し、日々の作業に合わせた独自の使い方も確立していたとのこと。Bending Spoonsは、こうした顧客に支えられた高い契約継続率を評価していたと説明しています。
買収後、Bending Spoonsは独自の技術や利用データを使い、2023~2025年に200回以上の実験を実施。実験の中には価格を変えた場合の反応だけでなく、新機能が継続利用に与える影響や操作画面の改善も含まれています。こうした実験によって料金やプランの変更をユーザーがどこまで受け入れるかを探っているとArs Technicaは分析しています。
Bending Spoonsは従来有料だったタスク管理やカレンダー連携などを無料ユーザーにも開放する一方、一部の機能に利用量の上限を設けました。例えば、2023年12月4日には無料アカウントの上限をノート50件・ノートブック1個とし、それぞれ上限に達すると新たに作成できなくなりました。この制限は新規作成に関するもので、既存のノートは引き続き閲覧・編集できる仕組みです。
メモアプリの「Evernote」が無料アカウントではノートを最大50個・ノートブックは最大1個に制限すると発表 - GIGAZINE
Bending Spoonsによると、利用上限をきっかけとする有料契約への移行は2024年には2022年の約2倍になっており、2025年の有料契約への移行については、利用上限に達したことをきっかけとするものが51%を占めたとのこと。同社は、利用上限の導入や料金プランの再編、製品の改良によって月間アクティブユーザー1人当たりの平均売上高が2022年から2025年にかけて2.5倍になったと説明しています。
Bending Spoonsが公表したEvernoteの売上高の推移は以下の通り。横軸は年、棒の数値は2021年の売上高を100%とした各年の売上高です。2025年は130%で買収前の水準を上回る一方、2024年の134%からは下がっています。
Evernoteは製品の改良を進めており、2023年の値上げ時にはインフラ整備と製品開発への投資を拡大するためだと説明していました。また、2026年1月19日に発表したEvernote v11では、キーワードが一致しなくても意味からノートを探せる検索機能や、ノートを参照して対話するAIアシスタント、会議の録音・文字起こし・要約機能を導入しています。
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